

「町医日碌」と題して町医者の日記を随時掲載しております。
朋あり遠方より来たる、また楽しからずや
中学、高校で一人も友達がいなかったわたしですが、幸い大学ではかけがえのない友人に恵まれまして、さらに就職してから研修医〜専攻医と同期の友人や、指導を通じて後輩たちとも楽しく過ごすことができるようになりました。
そして2017年に開業してからは開業医仲間の飲み会が始まりまして、そこへ他の病院の先生たちが参加して繋がりができ、前の職場の同僚たちとの飲み会やら、20年以上歳の離れた大学の後輩たちが近隣で働いていることがわかってまた飲み会と、今が人生で最もたくさん友達がいるのかもしれません。(ですが飲んで遊んでるだけではなく色んな情報交換や症例の治療相談なんかもして勉強にもなるんですよ、ははは)
さて、毎年秋に日本消化器病関連学会週間(JDDW、興味があればググってください)という、消化器病学会、消化器外科学会、肝臓学会、消化器内視鏡学会等、関連する学会が一堂に会する大きな学会があります。コロナ禍までは2万人以上が参加していた一大イベントですが、今年は神戸がその会場となりました。
で、わたしの大学の同級生で卒業後に外科に入局した7人がこの学会のために神戸に集まることになりまして、ついてはお前をゲストに呼ぶから何処か美味い店を用意しろと幹事役から連絡がありました。
当日、北は北海道、西は広島と全国から集まった、ちょっと舌の肥えた連中を満足させるのに最適のお店が三ノ宮、ハンター坂の1本西の坂を登って左に折れた先にある「申虎(さるとら)」です。


懐石料理の有名店で修業されたご主人の創るお料理は材料の厳選から始まります。
肉と言えば地元でお馴染み神戸牛か松阪牛を思いますが、このお店では牛肉のみならず鶏もポークも、もちろん野菜に至るまで全てをご主人が全国から仕入れてまして、それを丹念に調理されるのです。
この日の1品目は宮崎県の地鶏をつくねにし自家製の皮で包んで煮込んだ水餃子。
実に柔らかな食感とコクのある出汁がつくねにからんでコースが始まります。

続いて群馬県から仕入れたお肉を焼豚風に味付けたチャーシューならぬチャーギューと絶妙のタイミングで焼かれたタタキ、どちらも噛むほどに味が広がり、めっちゃ生ビールに合うんです。

次は鳥取県の銀山牛のリブロースと岡山県ブランド牛のシャトーブリアンで薄揚げを巻いて秋田県産のセリを長時間煮込んだソースでいただきます。
肉と野菜のコラボが絶妙の不思議

椀ものは葛粉と豆乳に蟹と銀杏を加えた饅頭が究極の出汁に浮かびます。
寒い日に最適で心底温まる上に美味しすぎて涙が出そうになります。

お口直しも手は抜かれず徳島産のミルクアイスに焼き芋の粉を加え広島産レモンで味付け、本当にお口の中が爽やかになりまして、ついにメインディッシュですがビフかつかステーキ、そのハーフと選べますがここは両方味わえるハーフがおすすめ、これをカンボジア産の岩塩やわさび醤油でいただくともはや感動のあまり言葉も出なくなります。

そして締めの一品はTKG、たまごかけご飯、そぼろ丼、牛丼から選べるのですが土鍋で炊いたご飯はどれも絶品。
わたしはTKGをお勧めします。

最後のデザートはなんとほうじ茶のブリュレに鳥取県のブランド柿、輝太郎(きたろう)のホイップが乗っており、確かにほうじ茶の風味なんですが柿とピッタリでした。
どれひとつとっても素材の選択、下準備、味付け、全てに手抜きのない完璧な仕上がりと言えるのですがご主人は毎朝5時に起きて準備をしていますとのこと、それが実感できるお料理で、案内したわが同級生全員が、美味い、最高と大満足のようでした。お料理だけでなく生ビール、ご主人が選ぶ料理にあうワイン、冷酒とアルコールも豊富に揃っております。
少々値は張る思われるかもしれませんがこれだけの手間をかけた絶品の数々を味わえるのでコスパ最高で安いもんだとわたしは思います。メイン以外は季節に合わせて旬の食材を使ったものがいただけますので飽きることもありません。
何かの記念日や大切な人を接待する時なんかにピッタリのお店です。
今年も拙いブログをお読みいただきありがとうございます。
著者:みむら内科クリニック 院長 三村 純(みむら じゅん)
