「町医日碌」と題して町医者の日記を随時掲載しております。
神戸市には胃癌検診の制度がありまして40歳になりますとバリウム透視、50歳以上で内視鏡検査(年齢が偶数の年度)かバリウム透視(毎年)が選択できます。70歳以上になるとどちらも無料で受診できるようになっています。
わたしの個人的意見ですが、バリウム透視は早期胃癌の発見には殆ど何の役にも立たない、50年以上前の古い検査ですので、皆さん内視鏡検査を活用していただきたいと思っております。で、わたし、神戸市の指定医療機関で行われる胃癌検診の内視鏡検査の二次読影の委員をやっておりまして月に1度神戸市医師会館に出務があるのです。
丁度昼食時ですので何処かで食べてから仕事に入るのですが、会館は地下鉄大倉山駅の近くにありましてその一駅手前の湊川公園駅西出口から徒歩3分にそのお店はあります。
実はわたし麺類、どんぶり大好き人間でして、親子丼やカツ丼+うどんやそばのセット、ラーメンとチャーハンの組み合わせなんかにめっちゃ幸せを感じるのです。ですが、大学時代に過ごした千葉、東京の6年間は、溶き卵を固めてしまうどんぶりと濃い味の出汁にはついになじめませんでした。
冷たい蕎麦は東京の方が美味しいと思いましたが、どんぶりと温かいうどん、蕎麦は断然関西の勝ちと思っています。
で、今回紹介する「丸亀」ですが、全国展開するあのうどんのチェーン店とは全く無関係でして、その創業はなんと大正10年(1921年)!と100年以上も続く超老舗のお店なんです。一世紀以上も営業する街の蕎麦屋さんをわたし、他には存じ上げないんですがお店に入って実際いただいてみると100年も続く理由がわかります。
蕎麦でもラーメンでもその味を決めるのは1番に出汁、2番は麺、3番にそのコラボ、そしてどんぶりは1も2もなく溶き卵の半熟具合とわたしは考えておるのですがこのお店はその全てが完璧なんです。
わたしが初めて訪れた時は親子丼とかけそばのセットを注文したのですが、まず初めにお出汁をひとくちいただいた時の感動は言葉では表現できない…では何も言ってないことになりますので恐らく鰹がベースで他にいくつかの秘伝の成分があると思いますが、舌から鼻にぬける香りが実に饒舌な風味を醸し出しておりまして丁度良い具合で腰のある麺とのからみも最高なんですよ。
そしてどんぶりの溶き卵にも共通の出汁が含まれていると思うのですがその半熟具合がこれまた信じられないくらい完璧な仕上がりでごはんと鶏肉、タマネギとの相性も抜群です。
日本で、神戸で、このお店が良かったとあたしはひとり感激のあまり涙まで…は出ませんが、このセットがなんと880円で食べれる幸せはなにものにも替えられません。
さらに嬉しいことに他のメニューも豊富で単品はもちろん色んなセットメニューもありますので麺類、丼物大好きな人は是非訪れてみてください。大晦日31日まで営業されるそうですので年越し蕎麦には最高です。
2023年もまもなく暮れていきます。こんなブログをお読みいただく全ての皆様に心からの感謝を申しあげますとともに新年が良い歳になりますよう、わたし、いのってます。
著者:みむら内科クリニック 院長 三村 純(みむら じゅん)