「町医日碌」と題して町医者の日記を随時掲載しております。
元号なんて不便なものは不要と個人的に考えておりますわたしですが生まれ育った時代の「昭和」だけはあまり抵抗がないというか郷愁を感じるのです。
昭和の最後のほうは大学生でしたので友人とあちこちの喫茶店を探してはコーヒー一杯で何時間もだべったり、近所の行きつけだった「れい」というお店には料理の上手な美人のママが居たので学校サボって昼から入り浸っておりました。
時代は変わって個性的な喫茶店はどんどん減ってしまい今やスターバックスやドトール、コメダ等のチェーン店が全盛となってるようです。これらのお店を否定する気は全くありませんが、どこも同じ雰囲気でわたしはあまり利用したことがありません。
で、今回ご紹介いたしますのはわたしのクリニックから徒歩で約10分くらいのところにあります「くるみ」というお店ですが、ここがもう文字通り昭和レトロ感にあふれるお店で、初めてお店の前を通った時にはこの店、やってるんかいな、と思ったほどです。
なんせ入り口とその横のメニューのディスプレイは昭和40年代をほうふつとさせますし内装も奥にカウンターがあってテーブル席が4卓ほどと真ん中に丈の低い本棚があり単行本の漫画とその上にスポーツ新聞が数紙乗って、映画「神田川」とか中村正俊主演のTVドラマ「俺たちの旅」のロケがピッタリ合う雰囲気なんです。
メニューも豊富でコーヒーはもちろんですがサンドイッチやパスタの軽食から焼肉定食まで、あの時代にはよくみられた街の喫茶店そのものです。
で、わたしのお勧めは定番の「オムライス」ですが、これがまたケチャップライスとそれをつつむ卵との絶妙のコラボレーションと言いましょうかコンビネーションが感動的ですらあります。
ミニサラダもついていますのでけっこうボリュームもあり大食いのわたしでも満足でき、おなかいっぱいの後のコーヒーもこくがあって外せません。
この美味しい料理を作ってくれる店主のママは見た目そのままの素敵で気さくな人柄でして、お聞きしますと開業して38年目とのこと、やはり昭和でした。新聞を読み、コーヒーも飲み終えてしばし沈思黙考しますと「夢をかかえて旅でもしないかあのころへ〜」と吉田拓郎の「我が良き友よ」の最後の一節が聞こえて来る気がするのです。
惜しむらくは喫煙可なので元ヘビースモーカーながら今は煙の苦手なわたしにはそれがちょっと辛いところです。
昭和はどこの喫茶店も煙がもうもうでしたが。
ホームページはもちろんなくて食べログにも情報がないお店ですが興味のある方は以下の住所で探してみてください。
神戸市垂水区学が丘4丁目10−25
著者:みむら内科クリニック 院長 三村 純(みむら じゅん)