「町医日碌」と題して町医者の日記を随時掲載しております。
8月5日(月)午前6時前に起床。
今日も快晴、雲一つ無い完璧な青空を背景に富士山がデーンと控えておりました。こうなるとさっさと出発したくなるのですが7時からの朝食をいただき7時40分頃に出発、本格登山の開始です。
とは言っても富士山は北アルプスの岩峰とは違い、鎖やはしごをつたってよじ登るような場所は全くなくてひたすら登山道を歩きます。なので単調ではありますが徐々に標高が上がるにつれて下界が遠く離れてゆき、伊豆半島や三浦岬が見渡せるようになります。
しかし快晴の日差しは強く、あまり暑さは感じないのですが疲労がたまってゆくのです。
11時過ぎに廃業した山小屋の廃墟前で今朝もらったお弁当で昼食をとりましたがおにぎりに、ウインナー、鮭の切り身に卵焼き、このシンプルな組み合わせが疲れた体に最高のご馳走になるものなんです。これで元気を取り戻し出発しましたが3000mが近づくにつれて傾斜も徐々に急になって歩くことが辛くなってきました。
開業してから六甲山や摩耶山でトレーニングする回数が激減していましたので体力の低下を思い知ることになりました。
出発から約6時間、午後2時前にこの日の宿泊先の「わらじ館」に到着しました。ここで標高約3100m、既に剣岳よりも高く北岳や槍ヶ岳に匹敵する標高です。
ここに泊まるのも3回目です。初めて来た時はそのまま山頂まで向かったのですが、今回はそんな体力は残っておらずゆっくり休むことにしました。
小屋の前にはスノウボードを椅子にしたベンチがあり3000mからの眺めを楽しむことができます。湧いては消える雲の動きもみていて飽きが来ないものです。
そんなときにヘリコプターが飛んできて旋回を始めました。胴体には静岡県の文字がみられましたが、後日同時刻頃に隣のルートで遭難者が居たことを知りました。飛んでるヘリを真横に見られることは高山ならではのことでございます。
夕食は5時と早いのですが標高差1500m、6時間歩いた身は腹ぺこで、しかもこのわらじ館のカレーは肉も多く絶品ですので最高に美味いのです。還暦ながら食欲は20歳代と大盛りで3杯も平らげて大満足でした。
さて、9時には消灯、就寝となるのですが前2回は定員の半数以下だった小屋が今宵は満員、知らない人と身を寄せて寝ることになりました。それでも布団1枚のスペースは確保されてますので吉田ルートの超混雑の小屋よりはましと考え眠りました。
午前2時頃には山頂でご来光を目指す人たちが起き出して支度を始めます。
この日は非常識な人がいて筆者のようにまだ寝てる人も居るのにぺちゃくちゃしゃべって起こされてしまいました。
著者:みむら内科クリニック 院長 三村 純(みむら じゅん)